「訪問マッサージを申し込んだのに断られた」「なぜ保険が使えないの?」「代わりに使えるサービスはあるの?」と困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
たとえば、家族が寝たきりになったことで訪問マッサージを検討したものの、「条件を満たしていない」といわれ、利用できなかったケースは少なくありません。医療保険が使える分、制度上の制限も多く、誤解が生じやすいのが実情です。
訪問マッサージは非常に有用なサービスですが、誰でも自由に使えるわけではありません。医療的な条件を満たす必要があり、それが不足している場合には利用を断られることもあります。
本記事では、訪問マッサージが利用できない代表的なケースとその理由、そして代替となる方法について、わかりやすくお伝えします。
さっそく、どのような場合に訪問マッサージが断られるのかをみていきましょう。
訪問マッサージを断られる主なケースとは?

訪問マッサージは、保険制度のもとで提供される医療サービスのため、一定の条件を満たさないと利用できません。
もっとも多いのが、「歩行困難ではない」と判断されるケースです。
訪問マッサージの保険適用条件では、「疾病や傷病により通院が困難な状態であること」が必要です(※1)。外出できる程度の体力がある、または家族の送迎で通院できる場合は、訪問の必要性が認められないことがあります。
また、「医師の同意書がない」場合も利用できません。マッサージは医療行為にあたるため、保険適用には医師の書面による同意が義務づけられています。診察を受けたものの「施術の必要性がない」と判断されると、同意書が発行されず、その結果として利用が断られることになります。
さらに、「対象疾患に該当しない」という理由もあります。マッサージは、「筋麻痺」や「関節拘縮」といった状態に対して適用されるため、慢性的な疲れやリラクゼーション目的では保険対象になりません。
訪問マッサージが利用できない理由とは?

訪問マッサージが利用できない理由は、大きく3つに分けられます。
1つ目は、「医療保険の基準を満たしていない」ことです。
訪問マッサージは、病気やけがにより身体の機能が著しく制限されている方を対象としています。肩こりや腰の違和感など、軽度の症状では保険適用の対象にはなりません。
2つ目は、「制度の誤解による申し込み」です。訪問マッサージは、介護保険ではなく医療保険の対象です。そのため、「要介護認定があるから使える」と思って申し込んだ場合、症状が医療的に認められなければ断られることになります。
3つ目は、「施術所側の判断によるもの」です。たとえば、居住地が訪問可能エリア外であったり、本人が施術を拒否している場合など、施術者の判断で断られるケースもあります。安全性や施術の必要性が確保できないと判断された場合は、やむを得ずお断りとなることがあります。
訪問マッサージの代替手段とは?

訪問マッサージが利用できなかった場合でも、他の支援を受ける方法はあります。
ひとつは、「訪問リハビリテーション」です。
これは介護保険サービスとして提供され、理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、身体機能の改善や維持を目的とした運動療法などを行います。医師の指示書とケアマネジャーのケアプランが必要ですが、マッサージ的な要素も含まれる場合があります(※2)。
もうひとつは、「自費による訪問マッサージ」の利用です。保険は使えませんが、対象の制限が少なく、症状に合わせた施術が可能です。費用は自己負担になりますが、通院が難しい方にとっては現実的な選択肢となります。
また、「デイサービスの機能訓練」も有効です。運動機能を高めるためのトレーニングや、柔軟性を維持する体操などが提供されることがあり、軽度の症状への対応として活用されています。
利用を断られたときの対応と相談先とは?

訪問マッサージの利用を断られた際は、まずは「理由を正確に確認すること」が大切です。
たとえば、同意書がないだけなのか、症状が対象外なのか、訪問エリア外なのかによって、今後の対応が異なります。
医師が同意しなかった場合でも、他の医師に相談して意見を聞くことで、再度の同意が得られることもあります。また、症状が変化した場合は、数か月後に再評価されることもあるため、あきらめずに様子を見ることも選択肢となります。
相談先としては、担当のケアマネジャーが最も適しています。医療保険・介護保険の違いや制度の活用方法をよく理解しており、利用者に合った代替手段の提案や、他のサービスとの組み合わせを検討してくれます。
また、地域包括支援センターでも、訪問サービスに関する情報提供や制度の案内を行っています。制度や利用条件について不明な点があれば、早めに相談することが安心につながります。
まとめ
訪問マッサージが利用できない主な理由と、それに対する代替手段についてお伝えしました。
歩行困難の程度や、医師の同意、症状の内容によっては利用できないこともありますが、訪問リハビリや自費施術など、他の方法もあります。断られた際には、理由を確認し、ケアマネジャーなどの専門家と連携しながら、最適な支援策を検討していくことが大切です。
※1 厚生労働省「医療保険における訪問マッサージの取扱い」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/houmon.html
※2 厚生労働省「訪問リハビリテーションの運用について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000930804.pdf